みちの道のり

みちの道のり

2015/06/25

翼の折れた燕

今から2年前、燕が雛を一生懸命に育てている中、私達もその成長がとても楽しみでした。でも、ある朝見ると、その愛くるしい鳴き声はなく、よく見るとすべて蛇に食べられてしまうという悲しい出来事がありました。その直後、何度も親燕が巣を行ったり来たりするのをみて、私達は涙を流しました。自然とはいえ、守ってあげられなくて申し訳ない思いがありました。
私はその教訓があり、今年も燕が巣を作り、もう二度と蛇やカラスの標的にならないように、万全な対策をしたつもりでした。カラスよけの為にトゲトゲを敷き、蛇よけのために、柱に粘着テープをつけました。あと少しで雛が生まれるかというその時、そのおせっかいが結果的に仇となり、親燕がその粘着テープにひっかかってしまいました。一生懸命洗い落としても、羽は折れてしまい、2度と飛ぶことはできませんでした。それから利用者さんやスタッフ、子供達と話し合い、これからのことを検討した結果、このまま外に放てば息絶えるだろうし、カラスのエサになるだろうから、精一杯ここで育てていこうと決断しました。でも、それは自然界の野鳥、生きたミミズやいろいろなエサを与えましたが、全く食べることなく、水も飲むこともなく、三日後、私達の目の前で息絶えました。
その後、みんなと話し合い、みちの桜の木の下に埋めてあげようかと思いましたが、この翼の折れた燕を、もう一度世に羽ばたかせてあげたいと思い、静岡県の自然保護課の方とも相談しながら、このような立派な剥製にいたしました。
自らのおせっかいのせいで、犯してしまった罪。何度も後悔しました。本当に申し訳ない思いはいつまでも消えることはありません。賛否両論あると思います。でも、少なくても、私達の心の中では、この燕はいつまでも羽ばたいてくれています。利用者やスタッフ、そして、「可哀想だね」と泣いてくれた子供達にも、こうした教訓を生かしながら、この羽の折れた燕とともに、私達も羽ばたいていきたいと思っています。
この清々しい陽気の中で、またいつか舞い戻ってくれることを信じて。
燕燕2