みちの道のり

みちの道のり

2011/01/14

2011年の抱負について

新年明けましておめでとうございます。
2011年がスタートし、憩の家みちも5年目を迎えることになりました。それは約束の5年目であり、そうした節目のこの1年、私達の進むべき道、抱負を述べたいと思います。
増え続ける要介護者、拡大する介護業界、私も少なからず、事業の拡大を模索したこともありました。社会のニーズを背景に、周辺の方々からの温かいエールも頂き、地域に根付いたターミナル施設の建設を模索したのも事実であります。しかしながら、ここをスタートした最大の目的は「福祉を実践する」ことであり、画一的にサービス化した介護業界に一石を投じ、相互扶助という福祉の原点を模索することでした。たとえ結果的に身を滅ぼすことになろうとも、あくまで「我が道は一、以てこれを貫かん」、その熱い魂こそ、憩の家みちの骨格であります。結果、収益の一部を利用して様々なボランティア活動を実践し、多くの方に感動を与え受け合う関係性が築けたものと思っています。
そうした意味で、今年の1年は、現在介護サービスを利用されている方々には、今まで以上に家族福祉という名の手厚いケアを実践することはもちろんのこと、単なる介護サービスという枠にこだわらず、今後も益々私的介入を実践し、利用者とスタッフとの垣根を取り払うよう努力致します。また、この1年は真の福祉を目指すこと、つまりボランティア活動に多くの力を注ぎたいと思っています。その一つが「就労支援」の実現です。
たとえ認知症の方であっても、誰かの支援があれば、まだまだ社会の一員として十分働ける。多少なりとも対価としての報酬を得てもらい、その人の能力を生かし、存在価値を認識してもらいたい。それは、「労働」というキーワードを使い、増え続ける介護保険料、介護施設、介護度の進行をも抑制し、これからの超高齢社会の問題を解決できる唯一の手段だと思っています。つまり、私達が実践するこのボランティア活動は、今まで介護保険制度というぬるま湯に浸かりながら生きてきたという負い目を、それに携わってきた福祉人の礼儀として、その恩に報いる為でもあるのです。採算性が合うわけでもない、どこまで実践できるかも不透明な中で、私達は3坪の小さな古小屋から、この福祉活動を実践したいと思っています。
今後も、介護ビジネスは、時代の流れと共に、益々変化することでしょう。新たなサービスが増え、資格が増え、ニーズも多様化することは間違いありません。でも、私達が訴えたいことは、1人1人が福祉の心を持ち続けることであり、それを発展させていかなければならないということ。つまり、介護という実践は、人との触れ合いを肌で感じ、多くの感動を分かち合える、つまり福祉力を高める手段に他なりません。ビジネスという名の介護では、決して育むことができない相互扶助という福祉の原点を、私達は実践する使命を負っていると思っています。本当の福祉国家とは、増え続ける高齢者に合わせたサービスを拡充することだけでなく、我々一人ひとりが福祉の心を育み、お互いが平等な立場で、自然に支え合い、創造していくものだと信じています。その実践こそ、ボランティア活動、つまり奉仕の精神ではないでしょうか。
今年1年、大きな転機になることは間違いないと思いますが、己の福祉道を創造し、前に前に突き進んでいく所存であります。約束の5年、そして次のステージにどう結び付けるか。それを方向づける重要な羅針盤となり得る1年であると確信し、今後も努力して参ります。
これからも、ご支援・ご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。

憩の家みち
家長 石津道弘