よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

理想を求めて何が悪いんじゃ!

こんな俺でも、最近はよく講演会に呼ばれることも多くなった。もちろん、自分自身で人前に話すことができる人間でもないし、話しの内容にまったく価値がないのは合点承知の助だ。入場料とかとられると困るもんな。

俺は基本的には人前で話すことが嫌いだから断る。でも、どうしてもと言われれば、こんな馬鹿な内容でよければということで承諾する。金なんていらない。いつでもいいから赤ちょうちんがどっかで一杯おごってくれれば充分だ。

11月19日縁あって神奈川県相模原で講演を行った。一杯ご馳走になり、本当に楽しい経験ができた。そこで翌日、あるひとりの女性の方からメールが届いた。本当にうれしいことが書いてあった。冗談かもしれないけど、勇気をもらった。また、明日から頑張りますって書いてあったっけ。

俺はいつも講演が終わると泥酔する。荒れる。自分に自信がないから酒で紛らわせて、何事もなかったかのように朝を迎える。そんな弱い自分が本当に嫌になる。痛風も悪化するわけだわな。

でも、俺みたいなこんな馬鹿っ面な講義で、少しでもそうした人達に、元気を与えることができたら、本当に有難いと思う。逆にこっちが恐縮しちまうよな。あんまり柄じゃないけど、講演とかやってよかったと思う。

ただ、俺の話は、あくまで理想論だ。今の業界は愛が足りない。でも、こんな俺だって金は欲しい、でも、それ以上に大切なものはあると伝えている。そうはいっても生活がある、だから金は欲しい。いつも、そんないたちごっこ。それこそ、理想と現実だ。俺の講演を聞いて「ちょっと現実味がない」という声も聞かれる。それはそれでいいのだと思う。逆に現実味ある話をしたら、誰もが嫌になると思うけどな。

この仕事は、理想を求めて立ち上がることであり、そこで現実をどう対峙していくのか、そこで自分がどこまで限界に挑戦できるかだと思う。俺は前から言っている。福祉って、自分の葛藤との闘いなんだと。だから、自分に勝ってもいい、負けてもいいんだと思う。その中で、ベストな答えを、ギリギリまで考えることが大事なんだ。

でも、どいつもこいつも自分のことばっかりだ。経営者も働く連中も、二言目には金、金だ。それが現実かもしれない。たしかにそうだ。でもよ、そんな金って大事かな。俺は綺麗事と罵られようが、福祉に大切なのは愛であり、多くの方に愛を与える、困った人を救う正義がそれよりも大切だと信じている。

たしかに、金がなければ俺の大好きな酒も飲めない。うちの従業員を正規にするにも、その家族を養うにも、金が必要なのは重々理解できる。だから、うちも利益を上げなければ生きていけない。もちろん、そうした矛盾があるのは当たり前なんだ。

でも、もしそうした愛とか、正義とかがなくなったとしたら、俺はこの仕事をやっている価値はないと思う。とっとと止めてやろうと思う。愛の反対は「無関心」だ。今のこの業界、対象者のために無関心な奴は本当に多い。だからこそ、理想とも言える愛を伝える必要があるのだと思う。

自分の為に生きるか、他人の為に生きるのか?現実の自分が大事なのか、理想を求める自分が大事なのか?いつも、そんな葛藤の中で生きていくしかないような気がする。だから苦しんだ。だから悩むんだ。
でも、それでいいんだと思う。

俺達は今から8年前から始まった。ゼロからのスタートだから、失うものはない。別にいつなくなっても構わないんだ。ここの利用者、そして難病の方、俺達の存在を認めてくれる人が一人もいるならば、なるべくでいい、その人の為に全力で自分と闘っていきたいと思う。

この業界は、本当に汚い奴らばかりだ。高齢者は増える。でも人材がいない。レベルが低い。くだらん資格ばかり増える。施設も増える。そこに無駄な予算がつぎ込まれる。俺は、こんなくそったれの世界に、いつまでも俺はつばを吐いていきていきたい。

俺はコンプレックスの塊だ。社会福祉法人も医療法人も、結局は汚い組織であり、小規模デイをフランチャイズで進めたあいつらも汚い組織だ。どこも本当にやり方がずるいよ。卑怯だと思う。

これから介護保険が改正される。俺は昔から介護保険の給付を下げるべきと伝えているが、おそらくそうなるだろう。でも、現実的に、金のない俺たちの方が、あいつらに負けるのは目に見えている。

だからこそ、テロリストのような理想を掲げてやろうぜ。いつ潰れても構いやせん。

馬鹿で結構。お前らの評価なんて気にしねぇよ。自分の限界との闘いに勝利し、その人が俺の存在を認めてくれた時こそ、最高の幸せの瞬間なんだよな。それが男じゃないのかよって思うな。

そうだよな、高杉晋作のように、ここぞという時には一念発起して、やがて世間に平穏が訪れたら、俺も酒と女に酔いしれて、静かに詩でも詠みながら旅立ってみたいもんだな。

 「お前ら相変わらず馬鹿やってるなっ」ってさ。
人は艱難は共にできるが、富貴は共にできない。
それが、かっこいいよな。
投稿日:2014/11/20 15:41:10