よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

絶滅危惧種と言われた幸せ


俺の人生最大の恥である「福祉馬鹿」の出版。当初は、本当に出したことに後悔をしたけど、今はもう時が解決してくれて開き直っている。

うちの利用者や家族にも配ったし、欲しい人も、欲しくない人も、皆にばら撒いてやった。今日なんて、県の指導監査があり、その担当者の方にも配っちゃったけどな。あれだけ役人の悪口書いているから、余計に目をつけられて、「追加監査」となるかもしれんな。
まぁ、でも、そんならそれで、俺の本を読んでくれたってことだから良しとするかな。

あの本は、たしかに理想論、精神論に過ぎない。でも、こんな古臭いことを、いつまでもつっぱって主張していきたい。俺の尊敬する先輩から手紙を貰ったが、「石津君は絶滅危惧種だよ」って言われたことが、本当にうれしかったな。日本うなぎになれれば最高だな。

県の担当者の人も言ってたけど、介護精神は大事だけど、やっぱり働く人の生活が大事。だから、石津さんも、もっと事業として割り切って儲けるところはあれして、拡大した方がいいのではとあった。

たしかに、うちは有難いことに評判がいい。そこに俺の存在はなく、うちのスタッフ全員の力だと思っているから、本当にうれしいことだと思う。それに、利用者も増えている現実もあり、せこい手段で泊まりサービスなんてきれいごと言って、利用定員を最大にしたいなんて、これっぽっちも思っちゃいない。そんなことしなくても、今は利用者は本当に増えている。

だから、事業として拡大できる部分も大いにある。たぶん、この仲間ならできるだろうと思う。でも、やっぱり、それって違うんだよね。本にも書いたけど、その時点で、「利用者の為」から「自分の為」に変わっちゃうんだよね。それは、多くの利用者と出会える、救えることが出来る点から言えば、それは違うのかもしれないけど、その整合性を自分自身で飲み込むには、まだ時間がかかると思う。

当初、有償ボランティアとしてここを立ち上げて、その後、この介護保険制度で飯を喰うことに変化したのも、かなりに時間を費やして、考えていたように、この事業拡大、介護職員の処遇改善という点では、かなり時間を要すると思う。

俺の古臭い介護魂。これって、きっといずれ忘れ去られると思う。いや、急速な高齢化のスピードに、この数年で消えてなくなるとすら思っている。それならそれでいいんだよね。結局、「バカの独り言」でいいんだ。だれか同情して一杯ご馳走してくれれば満足やな。

今日は県の監査があり、「ここは素晴らしい施設ですね」と褒められたこと。「個人的にも評価に値すべき施設」と評されたことは、本当にうれしく思う。そんな細かい記録なんてやってもないのに、「雰囲気がいいですね」と、何かを感じ取ってくれたのは有難いことだよな。・・・でも、それで調子に乗ってあの本をあげたのは失敗したかな?

俺はあの本を出したことに、当初は自暴自棄になり、本当に荒れ狂った。その理由は、主義主張の問題ではなく、「もっとああすればよかった」「ここをこう修正すればよかった」という反省だった。まぁ、俺も40を超えたから、あんまり人の悪口を書くのではなく、大人になろっかな?という思いも多少あった。

でも、まぁ、結果的に良かったかな。色々な利用者や家族、知らない人からも色々な意見を聞いて、「頑張ってください」って言わたり、「介護の大切さを学びました」みたいな若者からのメールを貰うと、だんだん、気が楽になってきたかな。

まぁ、それですぐ調子に乗って言いたいことを言うから、俺は失敗するんだけどね。

俺は福祉を真剣に向き合っていきたい。介護という場を通して、その意味を噛みしめたいと思う。事業だけで終われば、あの人は介護ビジネスの人で終わる。俺は「あの人は、本当に福祉馬鹿だね」っていわれることが最高にうれしいんだ。

俺が死んだら、友達とかうちのスタッフとかに、飲みながらでもいいから、笑ってさ、「あいつって馬鹿だったよね」って言われるのが本当に夢なんだ。その馬鹿の言い方も、見捨てるんじゃなくて、奥に愛情があって、ちょっと呆れたところもあり〜の、でも憎めないところもあり〜のが本望だな。

俺は絶滅危惧種だ。それで結構。これからも無策の役人共にブチ切れる。銭儲けだらけの介護事業所に唾を吐く。こうして出会えたもう一つの最高の家族を守る為に、この笑い声が、明日も、あさっても続くように、闘い続けてやるよ。

「俺はいつでもやめても平気」と話すと、多くの人が「それって無責任じゃない?」って言うけど、そうじゃないんだ。もちろん、最後まで責任は果たすつもりだけど、それぐらいの気持ちじゃないと、毎日を全力で走れないってことなんだよね。

 俺の本の読者から「石津さんのそのパワーはどこから来るのですか?」と言われた。だから、言ってやったんだ。「俺は、この世界では有害なアルコール自動車だ」「弱アルカリ性じゃなくて、強アルコール性」「社会福酒酒」だって。呆れてたっけよ。

まぁ、いいや。さてと、一杯の酒の為・・、いや、利用者の為に、今日も熱く頑張りますか。ただで絶滅なんてしてたまるかよ。
投稿日:2014/06/20 15:55:53