よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

F.N.S症候群と戦え!

俺がこの福祉の世界に入ったころから、今に変わらず根付いている病気がある。それは多くの職員が経験している病で、FNS、つまり「福祉職員、人間関係、症候群」。今から10年前に提唱した俺の持論だ。少なからず、この病に罹っている患者さんはいると思う。
 
福祉施設で働く多くの職員は、入所者や利用者のことで悩むより、職員間の人間関係に悩む人が多かった。それで仕事を辞めた人も沢山いた。それで地の底まで行った人も多いから、何とかしなければいけないと思う。

でも、この仕事はあくまでチームアプローチが原則だ。自分一人で何かできるものではなく、いろんな人が関わることで最高の条件でのケアが実践できる。利用者の満足度を高めようとすれば業務量は増える。職員も全員が同じ価値観ではなく、千差万別、どのように納得するかは自分のモチベーションに影響してくる。

経営者も、「利用者の満足」といいながら「職員の満足」という双方を考えなければ、組織としてうまく回っていかない現実がある。また、何をもって満足か?という判断基準も各々違って当然のことだ。

人が人という集団で人を助ける仕事だから、より繊細で、答えが見えにくく、扱いが難しいと言える。まだ、物を使う方が評価基準が明確なだけに分かりやすいと思う。
だから、ある意味FNSに罹ってもむしろ当然と言える。

でも、そこを何とかしなければ、明日の福祉はない。
無茶な話、福祉職に携わる人間に、もっと「使命感」があれば違うだろう。その方向性はあくまで利用者・入所者のために重きを置き、自分は二の次三の次でいいという強い気持ちがなければいけないと思う。

俺は、組織内で出世することの全てを否定するわけではないけれど、そのことで、働く従業員が、「成果は自分に跳ね返る」という、いつの間にか「我」に重きを根付くことが怖いと感じている。「主任、課長、部長、施設長、理事長・・」そんな肩書をいつの間にか、追い求めてしまい、くだらない権力争いなんかがあるからFNSが生まれると思う。

職員全体の使命感を一つにするには、組織のトップが方向性を示すことが必要だ。漠然としたきれいな言葉だけを並べたものでなく、より具体的に一人ひとりに踏み込んだ目標設定が大事だと思う。それを現実化するのが最先端で働く現場力であり、介護計画という目に見える形で実行できる。その中で、職員間同士で、利用者の為に熱く語り合うことが大事であり、全員が同じ方向を向いてこそ顕著に成果が現われてくると信じている。

また、「介護には答えがない」ということを認識することだ。これが正しいやり方なんて何ひとつない。それを焦って求めようとすると歪みが生まれるものだ。自分の思いを伝えるのはいいことだが、それが正しいかのように相手に伝えてはいけない。どうも、介護経験が豊富な人ほど、「これが正しい」と押しつけてくることが多い。おせっかいオバさんの勘違いが多いのが現状だ。

もし、今、職員間の人間関係で苦しんでいる人がいたら言いたい。利用者のために苦しむことは大きな結果を残せるし、その処遇の為に人間関係が悪くなるなら解決も早いだろう。でも、同じ職員間でいがみ合うようでは、絶対いいケアはできない。その時点で目的意識が変わっているんだ。

「他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる!」

それが答えだ。自助努力を怠らないことだ。
投稿日:2008/09/01 19:25:36