よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

売名行為と揶揄されて

先日、ALSの患者さん達の西伊豆の旅行に行った。事前に多くの段取りをして、旅行は大成功に終わった。そこでは静岡新聞社の協力も得たのだが、その担当者からこう言われた。「石津さん、憩の家みちは、患者さん達を利用して売名行為をしているだけではないか」。新聞社のお前らに言われたくないのだが、酒の席とは言え、俺は、返す言葉がなかった。たしかに事実でもあるからだ。

俺はこうしたボランティア活動を通じて、多くの方に評価してもらいたいと思う。毎月、名前も住所も明かさずに寄付してくれる方。年金暮らしで大切にした3千円を持ってきて、大切に使ってほしいという方。埼玉の独り暮らしのお花の先生は毎年決まった時期に寄付をしてくださる。俺は、そうした方々にも、自分達の活動実績を多く積んでいる事実を理解してもらいたいとそう願った。もちろん、俺という男も評価してもらいたいし、のし上がって「くそったれの介護業界ども」って叫びたい野望もあったさ。

でも、所詮、メディアの役割とは売名行為そのものであるとは思う。しかしながら、このボランティア活動は、我々の根幹をなす活動であり、それが、ある特定な人にではあるけれど、「売名行為」という理解を得たのであれば、今後のメディアとの付き合い方も考えなければならない。

結局、新聞記事にもなり、俺のメッセージは的確に伝わった。「病気や障害があっても、本人の努力と周りの支援さえあれば、夢なんていくらでも叶うということを、この活動を通じて多くの方に知ってもらいたい」それは、まさに事実でもあるわけだ。

俺は毎日仕事をして悩んでいることは、人の為とはいいつつも、結局は自分の為に動いているということだ。でも、それじゃいけないって、自分と自分が毎日葛藤を繰り返しながら、いかに奉仕できるかを模索している。綺麗ごとでは飯は食べれないが、綺麗ごとなくして、俺達の福祉美学なんて存在しなからだ。

たしかに、ALSの患者さんを利用したことは事実かもしれない。しかし、我々は自分達のできる活動をしていこうと信じている。それを多くの人に評価されたいという事実ではあるものの、それ以上に、その患者さんとの深い繋がりを、どう美化していくかという、それ以上に大切なものがあることを理解してほしい。また、評価そのものも、福祉活動の評価は他人がするものではなく、あくまで自慰行為、自己満足の世界、己が己を評価するものに他ならない。そうした意味において、俺の考える福祉活動というのは多くの矛盾がある。

ただ、今回の旅行に関しても、本当に大変な段取りをして実現した。売名行為と揶揄されようが、それなりの努力も出費もしている。障害者を利用していると一部の人間から言われるかもしれないが、それは考え方の違い一つであり、何も手が出せなければ、事はなに一つ前に進んでいかない。それに、今回の旅行は、俺の師匠、待井さんと俺達がどう楽しむか。決してALSの患者さんを喜ばすものだけではなく、我々も社員旅行を兼ねた旅行であり、一緒に楽しむことの意味をもたらせたと思っている。主役は皆であることだ。

ともあれ、今までの俺達は、少しばかりメディアの力に頼っていた部分が多くあった。最近は、テレビも新聞もみれば偽善的は福祉がまかり通り、俺達もその一部かと思うと、虚しくてたまらなかった。最近、俺はテレビや新聞からも目をそむけるようになりつつある。

メディアを利用すれば、すべてが売名行為に過ぎない。だから、今回の一見は反省しなかえればならない。あと、いい事をしました、記事にして、周りから評価されましたっていうやり方は「ダサい」ということを再認識した。

もう、メディアに頼ることもないだろう。俺達は俺達のやり方で生きていく。

投稿日:2011/09/19 12:05:08