よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

究極のサービス業なのだ!

俺は学生に、この仕事に就くなら、まずは徹底したサービス業を学べと話す。ホテルマンが理想だが、ホストやホステスもいいだろう。相手よりも下から、その目とその表情、趣味嗜好、行動の一つひとつから察知し、「次に何をすべきか」という答えを瞬時に出す。

特に介護の世界では、メンバーの状態や相互作用を把握し、低気圧と高気圧がぶつかると積乱雲が起こるなど、それこそ気象予報士のように利用者の関係性、今後の予想など、先々を読んで行動しなければならない。もちろんお笑いタレントか、アイドルのようなスター性も必須だし、ファンをつけることも大事なことだ。氷川きよしを見習うこともあるだろう。

相手は、今まで長年生きてきた高齢者であり、ライフスタイルが確立しているだけに主義主張も強い。背けば落ち込み方も倍に返る。些細なボタンの掛け違いから、死に直結する場合もあり得る。行動範囲は狭く、制限も多い。家族の意向も考慮しなければいけない。そして、何より与えられた時間が少ない点。だから、物事は慎重に、効果的に、かつ迅速にやらなければいけない。

そして、究極たる由縁は、その方の命が絶えたそのあとも続くということ。

亡くなった方のところにお悔やみに行ったとき、遺族の方が、「お父さん、石津さんが来てくれたよ」と、泣きながら遺影に向かって話しかけることがあった。こんなくだらない男にも、深々と感謝して頂ける。逝く人を温かく見送ることは、人間としてごく当たり前なことなのに、この仕事は感謝されるのだ。 

 介護がサービス化することが俺は嫌いだけど、実務上やっていることは否めない。だけど、関わる全てをサービスとしてやることは失礼極まりない。

だから俺は伝えている。この仕事は、「業」として携わる部分と、人として純粋な思い「心」の部分、それらの双方を兼ね備え、実践する必要があると思うんだ。

ホストやホステスのような、徹底したサービス業という立場で行なう「技術」と、利用者の生きる道へ支援者としての、「熱い心」がなければ、本当の福祉なんて出来っこない。

人生のうち、最後の花道をプロデュースしていく、究極のサービス業ということを忘れるな。
投稿日:2008/09/01 19:25:02