よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

組織なんてくだらない!

「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」

自分達の信念に合致するものであれば、同調することもいいだろうが、何でもかんでも組織を組んで、自分達の主義主張を訴えるような団体は個人的に好きじゃない。己の正義を貫こうとするならば、たとえ孤独であろうとも、我道を突き進むことが大切だと思っている。

どんな人でも、集団に属さない人間なんていない。政治家だって、ヤクザだって、アウトサイダーの俺だって、どこかの組織に嫌がおうにも属している。そんな集合体が団結し、ある目的を遂行していくことが組織の意義であり、その価値はいい部分も悪い部分もある。

俺が初めてボランティアをしたのは23歳の時、何も知らない俺は、まず役場に聞き、そこから色々と連絡先を教えてもらい、結局「どこか団体に入りなさい」と言われただけだった。俺は純粋に、誰かの役に立ちたいだけで、どこかの団体に入ってまでやりたくなかった。決められた枠の中で、縛られてやるボランティアなんてつまらないと思ったから、自分の納得できるよう色々と探し回った。いくつかの高齢者施設に連絡したが、3,4か所は断られ、ようやく見つかった1つの老人ホームで毎週日曜日、食堂の掃除や車いすの掃除を行った。

最初は、どこの不良兄ちゃんが来たのかと、冷たい視線だったけど、足を運んでいるうちに、少しずつ施設の方々も理解してくれるようになった。

そもそもボランティアとは、誰でもいつでもできなければいけないものだ。あくまで、「自主性と自由性」こそ、ボランティアの意義であり、それが組織に入ることで妨げられては意味がないと思うからだ。たしかに財源の問題や人材の問題もあるだろうが、徒党を組んでボランティアを推進することに、日本のボランタリズムの発展を頓挫させている原因だと思っている。

福祉業界も、社会福祉士会、介護福祉士会、看護協会など、様々な有資格者が徒党を組んで、様々な形で啓発活動をしている。それと同時に、自分達の権利を勝ち得ようと日々模索し続けている。俺も属しているから、あまり大きなことは言えんが、何となくちっぽけな感じがしてならない。目的は自分達のため?対象者の為?一体どちらだと言いたくなる。

ただ、組織でないと、届くものも届かないこともあるのは事実だ。だから、有難いものであると同時に、有難くないものである、それが集団なんだ。

俺はこうした介護の現場に身を置いてから、他の施設や法人のやっていることに全くと言っていいほど眼中にない。ましてや連絡会や勉強会なんて表面ばかりのなれ合い集団で、大嫌いなんだ。余計な情報も最低限でいいし、付き合いも最低限でいいと思っている。

福祉は心の仕事であると自負している。ところが、サービス化したおかげで、勘違いしたプロ意識が芽生え、その集団が権利を主張するようになったのが現状だ。本来の目的は、障害者や高齢者、患者さんの為に尽くすべき職種なはずが、時代と共に変わってしまったのだと思っている。

福祉において考えれば、何より、この仕事の最大の敵は自分だ。人間だから100%その人の為に全力でケアなんてできやしない。少しは自分のことも考えないと綺麗事だけでは済まされない業界だと認識している。でも、相手に尽くすことと、自分に尽くすことは相反するものであり、その相手に対する比率を下げることは極めて簡単なことだ。楽したければ自分に重きを置けば済む話だ。やっぱり、人間はそうなりがちなものだと思う。

「人の為」とは表面上は言うが、この業界は「己の為」ばかりの集団なのだ。

だから、俺達は常に自分自身と闘い、成長していく必要がある。「修行」と例えることもできるだろう。情報なんて最低限でいい。集団も必要と判断すれば組めばいい。大事なことはその人の為に、どれだけ「自分自身をMAX」の状態で接することができるかなんだ。

もちろんケアを実践するのは、第一線で働く「集団力」であるが、それを司るものは、それぞれの「個の力」なんだ。「自己犠牲」と「自己管理」こそ、己を磨く手段だと思っている。

高杉晋作は、俗世間と調和するところに、人間の福々しさを見出そうとした。俺もそろそろ歳も歳だから、いつまでも突っ張っていちゃいかんと自分でも思う。ただ、高杉晋作の語った言葉が、俺の根底にはある。

「人は艱難は共にできるが、富貴は共にできない」

人は、悩みや苦しみ、困難な状況は共に支え合うことはできるが、金銭や身分、地位や権力なんてものは、共には絶対にできない。

俺も晋作と同じように、権利を勝ち取った集団をよそに、口笛吹きながら一人で旅へ出たいもんだな。
投稿日:2009/04/28 20:29:42