よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

酒飲みの言い訳だ!

俺は酒飲みだ。痛風だろうが、肝機能が上がろうが、酒を飲み続けるだろう。たぶん、大きな病気にぶち当たって、苦しくなって初めて、愚かな自分に目が覚めるのであろう。今は時間をかけて自殺しているようなものだ。

「酒に酔うて虎の首」ということわざがあるが、酒を飲むとつい気分が大きくなり、多くの失敗談を繰り返してきた。大言壮語、つい偉そうに振る舞ってしまう自分が情けない。

ある有名な芸能人が、酔っ払って公園で裸になって騒いでいたという報道が流れた。すると、親や友達から連絡があり、みんな口を揃えて、「気を付けなよ、決して他人事じゃないよ」と注意された。

でも、俺はつかさずこう言うんだ。「バカだなぁ、俺は酔っても裸にはならねぇよ。俺は酔うと、女を裸にしてしまう罪な男だ」と。・・・みんな呆れていたけどね。

とにかく、俺は昔から、酒にまつわる事件・事故が多く、そのことをおふくろもすごく心配している。高校の持久走大会の日には、友達と二人でウイスキーを3本空けたことがあったり、渋谷のセンター街でつぶれて救急車で運ばれたり、特に18歳、19歳の頃は東京の上野の歩いて5分位の一軒家に暮らしていたので、酒の量も半端じゃなかった。よく上野警察所にもご厄介になった。

ある日、友達と二人で宗教団体に怒鳴りこみに行って、警察を呼ばれそうになったので逃げて、帰りの電車で女をナンパして、その後、飲み屋に行って、ベロベロで寝てしまい、目が覚めたら「こどもの国」っていう駅で、「あれ?とうとう俺は頭がおかしくなったか?」と思ったことがあった。

まぁ、そんなくだらない失敗談はどうでもいいが、やっぱり、一生懸命汗水流して働いて、夜に冷たいビールをキュッと飲み干すのは、まさに至福の時だ。

俺は金持ちなんかになれなくていい。寝るところがあって、飯が食えて、週に3,4日は美味い酒が飲めればそれで満足なんだ。酒は値段じゃなくて、庶民的なやつが一番。ビールじゃなくて発泡酒でいい。酒は2級酒で十分だ。おいらの舌には安いものがぴったりなんだ。

酒にまつわることで、一番感銘を受けた言葉がある。
『酒は、人が生きている姿を、生きねばならん姿を、生き続けたいと思う姿を映し出す』

生きている姿、それはまさに、その時の自分の存在・今の感性そのものだろう。そして、生きねばならん姿は、悲しみ、苦しみ、絶望の淵に立ちながら、救いを求めるが如く酒に走る姿を、そして、生き続けたいと思う姿は、喜びや感動、希望に満ち溢れ、明日の自分を夢見ている祝杯の姿が想像できる。酒を酌み交わす多くの場面では、たいてい、そんな3つのどれかにあてはまるものだろう。

事業を開始して2年目の誕生日、俺はスタッフの皆から最高のプレゼントをもらった。どんな高価な物よりも、俺にとっては価値あるもので、その時の酒は格別だった。おそらく、生き続けたいと思う酒だったのだろう。

また、お婆ちゃんがなくなった時、親父は一人遺影の前で酒を飲んで泣いていた。俺はその背中を今でも覚えているが、その酒は、生きねばならん酒だったと思う。

酒により、ノミニケーションが出来て、たくさんの交流ができることは特典としてあるが、一方、俺のような節度のない人間は、身体を壊すというデメリットもある。

でも、酒で喜びの場合は倍増させてくれるし、悲しみの場合は上手に中和させてくれるんだ。酒は女と違って文句は言わないし、黙って俺の話を聞いてくれる。「わかるよな〜酒よ〜♪」って感じだ。

俺は、外見は強そうに見えるかもしれないけど、本当に肝っ玉のちっちゃい男なんだ。臆病で、周りの視線が気になって毎日ビクビクしながら生活している。だから、ほんの一瞬だけだけど、酒がそれを忘れさせてくれるんだ。そして、それが覚めた時、もっと辛くなることを警鐘しているかのように、心地よい逃げ道を誘ってくるんだ。

「酒で失敗するなよ」と、耳にタコができるほど、おふくろから注意されている。まぁ、もう昔と違って馬鹿な飲み方はしないから大丈夫だと思うけど、ごくたまに、酒に逃げることも大事じゃないかな。

生きねばならん姿も、生き続けたいと思う酒も、どちらも人間である以上、自然で美しいものだ。そんな愚かさや醜さを表現できるのは、酒と言う名のツール(道具)を通して「人間的」という自然な美しさに変化させてくれるものだと思う。

色々あってもいいじゃねぇか・・、だって俺達は人間なんだからよ。
さぁ、飲んで、語り、泣き合うべよ。
投稿日:2009/04/26 22:14:07