よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

伝説の上司、山内部長!

「こんちは〜、サッシ・手すりはいかがっすか?」
俺は住宅関連の業界で、飛び込み営業を約2年やっていたことがあった。仕事は辛かったが、0からのスタートで、200万売り上げた時は感動で涙が出たこともあった。そして、落ちこぼれの俺を立ち直らせようと、営業のいろはを教えてくださったのが、そこの上司。伝説の男、山内部長だ。

身長は180p位で痩せ型、白髪交じりでメガネをかけている。でも、そのメガネの奥から微かにみえる眼光は鋭いものがある人だ。

山内部長の豪快さは伝説がある。
酔っ払って、交番へ。態度はかなり偉そうだ。入って椅子に座るやいなや「おい、コーヒー!」。目ん玉を丸くした警察が言う。「はい?」。「聞こえないのかよ?コーヒーだ!」。ただの酔っ払いか、と呆れた警官をよそに部長が吠える。

「お前らは、俺達の税金で喰ってるんだ!俺達が血と汗を流して得たお金で、お前らは喰っているんだ。そんなに暇そうにしているくらいだったらコーヒーでも出してもいいじゃねぇか」

さすが、熱い部長だ。たしかに、酔っ払いの行動だし、社会的に許されるものではない。でも、それ位、魂を込めて仕事をしているからこそ、それが言えるのだと思う。

仕事で泣ける人、それが山内部長その人だ。
「石津、営業は会社にとっては花形だ。商品を知り、愛し、『絶対、他社には負けない』という自信が必要なのだ。会社の良し悪しは、営業マンで決まるのだ。」

そんな熱い部長が俺も大好きだった。部長は何かいいことがあると、必ず「握手」を求めてくる。ゴツイ手で熱く握りしめる。そして、握手をしながら、背中をポンポンと叩く。それで酒が入ると、男同志抱き合う。別に変な意味じゃない。暑苦しいほど、ハグしてくれるんだ。そして「石津〜、頑張れよ」「男は頑張れよ」って、語る。

 部長は、社長に対する絶対的な忠誠心と、部下に対する厳しさと愛情の深さは半端じゃなかった。そして、仕事に対するプライドが高く、何処までも数字を追い求め、絶対に負けてたまるかという反骨精神があった。だからこそ、会社から認められ、部長の地位まで昇進した。

一見、企業の営業マンと、この福祉の仕事は全く違うように思えるが、俺は部長の教えがとても役に立っている。飛び込みで、うちの活動を知ってもらうために、色々な所に頭を下げるのは何とも思わない。踏まれても、揉まれても、「こんないい商品、他には絶対にない」という自信が持っているからだ。

「憩の家みちは、他では絶対マネできない素晴らしい事業所です」、そう胸をはって飛び込んでいる。何度馬鹿にされて涙を飲んだことか、悔しくて酒に逃げたことも何度もあった。でも、俺は、NO1の営業マン、山内部長から教わった「熱い営業スピリッツ」がある。こんなところで負けたら、部長に申し訳ない。だから、何度も何度も、俺は頭を下げるし、理解してもらえる努力を全力でする。

「諦めない心」「認めてやる心」「許してやる心」、それが大事だ。

 やがて、俺は福祉の仕事に興味を持ちはじめ、その仕事は2年で辞めた。でも、部長は、俺みたいな平社員が辞める時も、熱い涙を流してくれた。こんなおちこぼれ平社員が辞めるのにも、よその目も気にせず、わんわん泣くんだ。

「石津、頑張れよ。お前が夢に向かって走り出すから、俺はそれを認めてやるんだ。男は夢を叶えるんだ。お前ならできるぞ。わかるよな。絶対に忘れるなよ。」
そう言って、男同志、夜の居酒屋の前で、泣きながら抱き合った。

そこまで、部下を信じる熱い思い。俺は部長に申し訳ないと思う懺悔の気持ちと、認めてくれた感謝の思いで、涙が止まらなかった。

部長!私は、会社や商品、そして仲間や部下を、とことん信じてやること、惚れ込むこと。裏切られても納得するまで我慢することの大切さを教わりました。そして、目標が達成されれば、その先には「感動の涙」があるということ学びました。全力で走っているからこそ、腹の底から涙が出る。
私も、部長のように熱い涙を流せるような男になります。

福祉の道において、人と人の繋がりこそ大事なものはない。親や兄弟にも別れがあるように、俺達の同志にも別れる時が必ず来る。環境が変われば人間の心も変わり、同志の別れの時は早くなる。

けれども、今この一時だけでも、お互い腹を割り、魂を込めて、一つの目標に向かって走り出す素晴らしさ、みんなで花火を打ち上げることの大切さ、それを感じることができれば最高だと思う。

別れの数だけ出会いがある。涙の数だけ喜びがある。
俺は、そんな山内部長に憧れている。
投稿日:2009/04/01 19:36:50