よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

詐欺集団と紙一重だ

言葉は悪いが、「高齢者を食い物」にしている諸君へ。
 俺達はひょっとして「詐欺集団」じゃないのか?上手いこと言って、その場しのぎで、年寄りを騙くらかして、飯喰ってる。一番たちの悪い詐欺集団じゃないかって、俺はたまに思うんだ。

もちろん、そんなことないって、俺だって思っているし、今働いている人も、そんな気持ちでやっている奴はいないはずだ。いないと信じている。でも、考え方を変えてみると、紙一重のような気もするんだよ。

デイサービスにとって、レクリエーションの提供は最も重要な活動だ。特養と違って身体介護も少なく、個別レク、集団レクの良し悪しで、利用者の満足度も変わってくるだろう。その意味で、利用者を喜ばずレクを用意することは当然のことだ。俺達はその為に、面白いゲームを考え、昔の歌を覚える等、処遇に悩んできた。

でも、心のどこかで、「時間が過ぎてしまえばOK」みたいな風潮がないだろうか?時間潰しの為に、メニューを用意して、一般ウケしそうな唱歌を歌ってみたり、景品をつけたゲームなど、気をこちらに引きつけようとする。それで、盛り上がってくれた、また各々楽しんでくれた。それで「OK、OK」みたいに、一日一日を過ごしてはいないだろうか?

俺は、その援助者の勝手な満足が、詐欺行為に似ていると思っている。

つまり、100人のうち、99人がそれで満足を得られたとしても、たった1人、「こんなことつまらない」と思う人がいれば、その人からすれば詐欺にあったようなものなのだ。その人にとって、つまらないと思うことを提供して、ちゃっかり銭は貰っている。「騙された、金返せ!」なんて年寄りが言う人もいないだろう。

だから、年寄りを騙して、「いい事をしています!」と、言わんばかりのごとく振舞う、タチの悪い詐欺集団に思えるんだ。以前、俺は「究極のサービス業」と話をした。そして「心に響く熱い仕事」という話もした。でも、少し考え方を変えると、一番弱い立場の人を、一番騙しやすい人を、一番助けが欲しい人を、介護保険という名目のもと、詐欺行為をして儲けている集団と思われても仕方がないと思う。

入居金何千万か必要な施設に、俺の知り合いのオバサンが入所した時、そこの施設長は、なんとまぁ腰の低いこと低いこと。「一生介護が受けられて安心ですよ」って怪しい笑顔で話す。年寄りの不安を煽るのはあいつらプロだ、だから、そこを突っついて入所に持ち込む作戦だ。結局、そのオバサンは入所から2年足らずで亡くなり、莫大なお金はそこの施設に入った。

これから自分がどうなるか不安な年寄りに、「安心」を武器に大金を得る行為が、詐欺でなくて何という?「死ぬまで手厚い介護が・・」というが、本当にそうだったのか?あの高い入居金はどこへ行ったのか?そこの運営会社の表の顔と裏の顔があるということだ。

もちろん、俺達だってそうさ。金額の大小じゃない。行為そのものは変わらない気もする。

だからこそ、俺達の仕事はいつでも、そう思われないように気を抜いてはいけないということなんだ。一人でも「満足していない人」がいたならば、その介護報酬を返却すべきだし、利用料なんて貰ってはいけないんだ。その位、真剣勝負だと思っている。

たしかにその評価は難しいかもしれないけど、利用者の普遍的な満足を、いかに実現できるか。個別的、集団的活動の中で、「何を得てもらいたいか」、という目標設定が重要だと思っている。それが、上辺だけでなく、俺達も日々進化していきながら、悩みながら、実現していく必要がある。

俺達は詐欺師じゃないけど、介護保険でメシを喰っていることは事実だ。「恥ずかしい人間なんだ」ということを踏まえて、謙虚に、かつ誠実に、「満足という実績」を求め、着実に遂行していくことが大事だろう。そうでなければ、本当に詐欺師呼ばわりされてしまうからな。

俺達も、まだまだ発展途上。これから少しずつ、邁進していきたい。

そういえば、昔付き合った女から、よく「騙された」って言われたような・・。
投稿日:2008/09/03 18:45:31