よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

覚悟なき介護施設はクソッタレだ。


 ある利用者さんの乗車状況。それは毎回奥様と連絡を取り合いながら、時に家の柱にしがみつくのを強引にひっぱり乗車させたり、時にスーパーの駐車場で車から車へ強引に押し込んだり、散歩途中に拉致するように押し込んだり、本当に試行錯誤している。誰がどうみたって、デイサービスの送迎者に乗っている人とは誰も思わないだろう。
 介護技術とやらで、利用者を尊重した声掛けとかなんやらで、あの人がスムーズに乗車できるなら、是非ともやってもらいたい。そんな自信があるやつは、偉そうなことを言う前に、実践で証明してほしい。
 ただ、残念なことに、それが多くのデイサービスは出来なかった。だから連中は安易の断った。その結果、1か月の間、あの人は2回も警察に保護されることになり、家族は路頭に迷った。
 乗車するにも拒否が凄い、暴力も振るう、その状況ならば、俺だって断りたい。他のスタッフなら危ないから行かせるのは酷だ。ましてや場所も遠い。到底収益から見ても割が合う仕事ではない。くだらない感情を出さず、直に勘定だけすれば、断るのも無理ないだだろう。
 でも、あの人は医療ミスで大きな後遺症を負い認知症も進んだ。そして、家族も、とりわけ奥様はその行為について自分を責めている部分があり、あの時の判断に重い十字架を背負っている。だからこそ、叩かれても、蹴られても、あれ程の愛情を注いで在宅介護ができているのだと俺は思う。
 たしかに俺は口が悪い。呼び捨てもする。あだ名でも呼ぶ、利用者に接している態度とは到底言えないと思うし、それが皆さんに影響を与えていることは本当に申し訳ないと思う。「言葉遣い」、たしかに大切なことだ。でも、丁寧な言葉遣いが相手を喜ばすとは限らない。ましてや、ここは病院じゃない、施設じゃない。「もう一つの家」として、ここの利用者には過ごして欲しいと思っている。年寄りから赤ん坊まで、時に学びあい、喧嘩しあい、感動しあい、それがここの形だと信じている。
だからこそ、どんなに職員から否定されても、周りから乱暴な施設だと揶揄されても、あの人と、そして奥様が困っているのであれば、たとえ周囲から悪と言われても、自分が正しいと思うことをやりたい。一時しか関われない我々が、また、関わろうとしない連中が、安易に利用者の尊厳という言葉を使うべきではない。そんな綺麗事を言っているから、限界まで挑戦しようとしない、安易に断るという現象が起きていると思う。
 是非、皆さんには、群盲像を語るような人間にならないで頂きたい。言う前に、否定する前に、一遍だけで判断せず、なぜそうするのか、なぜそうなったのか、自分の眼で見て頭で考えて、それから行動して欲しい。自分で何ができるのかを考えて欲しい。
 俺はつくづく思う。資格なんて本当にどうでもいい。その人にとって、どこまで真剣に、真面目に、逃げることなく、付き合っていけるか、その「覚悟」が必要なんだ。
 もちろん、俺と同じ考えを押し付けようとは思わないし、周囲を否定するつもりもない。各々考えがあって当然だし、ぶつかり合うことは必要だと思う。
 ただ、歳を重ねるうちに、打たれ弱くなっている自分がいることはたしかだ。
 悲しい限りだぜ〜。
 
投稿日:2019/05/13 12:31:45