よりみち

 この“よりみち”は、家長:石津が勝手に、ウンチクを語ることで、「こんな馬鹿な男もいるんだ」と、皆さんに生きる勇気を与える為の文章を載せています。  尚、内容に関しての苦情、反論、哀れみなどはご遠慮ください。強がっているわりには、打たれ弱い性格なので・・。また「憩の家みち」とは何ら関係なく、あくまで個人的主張であることを重ねてご理解ください。

よりみち

古臭く、汗臭い男になれ。

俺は経営者だが、自分の身の丈はよく知っている。人を動かす力なんてないし、そんな面倒なことするより、自分で動いた方がいい。だから冒険はしない。俺の風貌からすれば、多くの人は、危険な橋を渡りそうと勘違いするだろうが、常に石橋を叩いて渡っているかな。簡単にいれば、そんな度胸がないだけなんだけどね。

この暑い中、俺達は休みなく働いている。いや、働かせてもらっている。それが本当にありがたいことだと思う。困っている人がいる、だから、俺達がいる。ありがとうと言われ、多少なりとも収入が得られ、それで生活までできる。この時期、たしかにスタッフも休み希望が多いから、小規模の事業所は、その割り振りは大変だ。この異常な暑さのせいか、イライラすることもたまにあるけど、皆の頑張りをみているとこちらも勇気がでる。この時期のお風呂介助は、本当に大変だもんね。でも、汗流すって、気持がいい。ビールがうまいから、痛風発作にすぐになる。俺クラスになると、痛風の痛みはもう慣れたな。

自慢にならないか・・。

俺は昔から、お金は汗水流して稼ぐものだと教わった。今やネット時代。スマホ一台で、簡単に一般サラリーマンの何十倍もの収入を稼いでいるやつも多くいる。それはそれとして、苦労もあっただろうけど、儲かるようなルートを作り、仲間を募り、パソコン一台で、多額のお金を手にする若者が多いという現代社会に、おじさんの俺は不安を感じてしまう。それが実業家として名乗りをあげていること自体、なんか許せない気がする。

俺は肉体労働を長くやっていた。今もその続きみたいなもんだ。だから、ブランドスーツに身をまとい、ネクタイ締めて、高級車に乗り、パソコンを持ち、高級な時計をしている奴等があまり好きでなく、ねじり鉢巻きして、ドカジャンにニッカポッカ履いて、缶ビール片手に歩いている方がよっぽど恰好がいいと思う。まぁ、そう思う俺も問題あると思うけどな。

でも、SNSで多額のお金を得ている若者が今はすごく多いという現実が、どうも許せない感じがする。だいたいそうやって多額のお金を手にしたやつは、一生懸命にやっている奴を下に見る。口には「それはそれでいいじゃない」とはいうが、鼻で笑っているもんだ。二言目には「金は活かす為にある」っていうんだよね。

でも、俺は考え方が古いからかもしれないけど、なんかそんなんで銭儲けしているやつが嫌いなんだ。最近のくだらないコメンテーターも、なんか勘違いしたインターネットを熟知したやつが多くて、昔でいうオタク連中が、今の時世を総評している可笑しな状況だ。もちろん、羨ましい気持ちも否定はしないよ。うちに高額寄付でもしれくれりゃ、俺の考えを180度変えてやってもいいよ。ネットサービス最高!ってよ。

でも、そのままで、本当にこの日本は大丈夫かなって思う。一生懸命、馬鹿なことでも、コツコツやることが、俺は美しいと思うし、それを次世代のやつらに背中で見せることが大切なような気がするんだ。もっといえば、今でこそ、スマホでのイジメ問題もあったり、SNSの発展で、便利になったけど、何だろう、現実味がないというか、架空の付き合いというか、なんかますます寂しくなるような気がするんだ。余計、直接的に、目に見える形で、人と人とが触れ合えないというか、それが、良しとされ、仕事の一つして数えられるのが怖いんだよね。

ビジネスをするにも、面と向かって勝負する。俺という人間を見てもらい、客観的に評価してほしい。とことんまで飲んで、語り合い、罵り合い、分かち合う、それが、昔の日本の良さだったような気がするんだ。

今の子供らも、みんなゲーム世代。インターネットで誰とでもつながっている本当にいい時代だ。でも、便利だからこそ、身近な家族や友人であったり、こうした仕事の意義や役割まで、その本質が失われつつあるような気がして怖いんだ。

だから、俺は都会のIT関連のエリート連中が大嫌いで、下町の工事現場で働いている人の方がよほど立派だし、見習いたいと思う。それに、真面目にコツコツ頑張っている人を評価してくれるような社会に、俺達こそがしていかなければいけないと思う。

俺は、やっぱり仕事というのは、自分の信念があり、それで人を結果的に幸せにすることができること大切であり、それには汗水流しながら、馬鹿だと思われても、一つのことに専念し、我慢し続けることが大切だと思う。それは、愛する人の為であり、自分の為であり、日本の未来の為であることでなければダメだと思う。

俺はよく小さい町工場の経営が悪化している話をよく聞く。たしかに時代の流れかもしれないけど、そうした中小企業の町工場こそが、日本の経済成長の礎だと俺は思っているし、それを守るべきだと思う。俺は、そんな油臭い、汚い、誰もが敬遠する世界を見つめていきたいし、できる限り応援をしていきたいと思う。

俺は、この介護の世界に入って20年近くなる。福祉馬鹿という商標登録をして、この世界とともに心中することを決めた。もっと拡大しようと思いもあるし、いい話もたくさんいただいた。でも、すべて断ってきた。うちで働いてくれているパートさんも、もう10年近くになるやつが4人もいる。10年もパートでやってくれるなんて、本当にありがたい話だと思う。

俺は成長しなくてもいい、現状維持こそ大切。継続こそ力なり。いろいろな話はあるし、これでも経営者の端くれだから、いろいろ悩む部分はあるけどな、やっぱり悩んでも、答えは原点に返るんだよね。「お前は一体、何をしないんだ?」って自分に問い詰める。

「俺は金儲けをするためにやっているんじゃない。ここで家族福祉を実践し、それを世間に証明することなんだ」「綺麗事じゃ飯は食えないのもわかる。でも、ダメなら、それでいいじゃないか。ここに来ている方が、『有難う』と言ってくれるなら、そんな人が1人でもいるなら、その人の為にぎりぎりまでやってやろう」「こんな家族愛が希薄化したくそったれの世の中で、この空間だけは、みんなが支えあい助け合う、福祉愛に満ちた場所だって、思いっきり突っ張ってやろうぜ」ってよ。

俺は今後も、この憩の家みちを、田舎の古臭い町工場のように、毎日汗流しながら、こいつらと一緒に笑って過ごしていたい。パソコン一つでぼろ儲けして、成功したような面しているガキにはわかりはしないさ。今ここにいる人達は、たしかに醜い姿かもしれない、臭いかもしれない、でもよ、この人たちのお蔭で、今の俺達、そしてお前らの幸せがあることを忘れるなっていいたいよな。

今日は広島の原爆記念日。きっとあの時も、小さな町工場では、多くの人が汗を流しながら、現実の苦しみに耐え、明日を夢見て働いていたんだろう。俺も、そんな先人達の教えを学びながら、いつまでも馬鹿野郎で、古臭い、汗臭い男でありたいと思う。

でも、ちなみに僕はクーラーがないと夜は寝れません。
それじゃ、説得力ねぇか・・。

投稿日:2015/08/06 14:21:02